S-MPFによるCTC分離後のホルダー内パパニコロウ染色 参考手順
重力ろ過で分離した細胞を、フィルターをホルダーに装着したままPap染色する手順です。
手順の詳細は本ページの図を参照してください。
重力ろ過膜 S-MPF® で血液から腫瘍細胞とその集塊を構造ごと回収し、Pap染色・ICCで評価する。私たちは、この方法の判定基準をそろえ、多施設で症例を集める研究会です。
腫瘍細胞は、単独よりも集塊として血中を移動するときに転移能が高いことが知られています。しかし従来の血中腫瘍細胞(CTC)検査の多くは、抗体による選択や大型の専用機器を必要とし、集塊の構造や、内皮細胞・線維芽細胞といった腫瘍細胞以外の構成細胞を評価しにくいという限界がありました。
S-MPF® 法はポンプも陰圧も使わず、細胞診の日常業務の延長で導入できます。一方で、判定基準の普及、施設間の再現性、症例の集積はまだ途上です。
C-TAC研究会は、病理・細胞診、臨床検査、呼吸器外科・腫瘍内科、産婦人科、基礎研究の各分野をつなぎ、方法と判定の要点を共有し、多施設共同研究の母体をつくることを目指しています。
C-TAC(circulating tumor-associated cells)は、血中の腫瘍細胞(CTC)だけでなく、腫瘍関連内皮細胞・線維芽細胞・マクロファージと、それらの集塊を含む総称です。転移を実行するのは孤立した細胞ではなく、支持細胞を伴った集合体であるという考え方に立っています。
捕捉した集塊は、細胞数と立体構造の2点で判定します。胸部腫瘍28例の検討では、HGAは悪性8例のみに出現しました。
出典:Sawabata N. Cells 2026;15:1108/Sawabata N, et al. Cytopathology 2026;37:344-52
EDTA採血した血液を、S-MPFフィルターを装着したホルダーに通すだけの重力ろ過です。赤血球や白血球は孔を変形して通り抜け、より大きく硬い腫瘍細胞やクラスターが膜上に残ります。標本の作り方には、フィルターをそのままスライドに封入して鏡検する基本法(フィルター封入法)と、捕捉細胞をスライドへほぼ全量写し取る転写法の2つがあります。
フィルター上の細胞をMASコートスライドへ加圧転写する方法です。湿固定標本として自動染色装置に載せられ、同じ標本でICCまで行えます。三方活栓を使った分離・固定の手技は、動画(YouTube)でご覧いただけます。手順の詳細は本ページの図を参照してください。
転写標本は湿固定のため抗原性が保たれ、Pap染色後の同一標本でICC(p16、CD45、サイトケラチン、TTF-1 など)を行えます。フィルター上での染色はギムザ・パパニコロウとも可能ですが、フィルターは熱に弱く、熱処理を伴う抗原賦活化はできません。数値の出典:Tatsumi S, et al. Anticancer Res 2026;46:4291-300。手順は同論文の方法を改変した現行の方法です。
| 年 | 段階 | 主な知見 | 文献 |
|---|---|---|---|
| 2022 | 基礎検証 | 血液をろ過するだけでCTCを分離 | Morita K, et al. Anticancer Res 2022;42:4305-10 |
| 2023 | 前向きフィージビリティ試験 | クラスターCTCの抽出が可能 | Sawabata N, et al. Anticancer Res 2023;43:4683-90 |
| 2026 | 手技の公開 | 血液ろ過のみによるCTC分離法をプロトコルとして掲載 | Sawabata N, et al. Methods Mol Biol 2026;2999:71-80 |
| 2026 | 分類体系の提唱 | cTME/C-TACの統一分類を提示 | Sawabata N. Cells 2026;15:1108 |
| 2026 | 判定基準の提唱 | 胸部腫瘍28例でHGAは悪性8例のみに出現(特異度100%、95%CI 29.2–100%) | Sawabata N, et al. Cytopathology 2026;37:344-52 |
| 2026 | 転写法の確立 | 転写率98.7%。気泡除去でろ過時間・残存白血球率を改善 | Tatsumi S, et al. Anticancer Res 2026;46:4291-300 |
学会地方会の会期中に併催セミナーとして開催予定です(30–60分、講演+総合討論、デバイスと転写標本の実物展示あり)。学会名・日時・会場は決まり次第お知らせします。
肺病変の術前動脈血を転写法で評価した初期検討。肺癌5例中4例でC-TACを検出し、うち2例でHGAクラスターを確認しました。
Zoom開催・参加無料。座長:西川 武 教授(天理大学 医療学部 臨床検査学科)
TEMSウェビナー(オンラインライブ配信)・参加費無料・事前登録制。技術協力:株式会社池田理化/東レ株式会社
S-MPF法の手技動画と、ウェビナーの事前学習用に作成した解説(スライドPDF・ナレーション付き動画)を公開しています。
重力ろ過で分離した細胞を、フィルターをホルダーに装着したままPap染色する手順です。
手順の詳細は本ページの図を参照してください。
三方活栓で気泡を除く方法で、血液の重力ろ過から固定までの実際の手技を紹介しています。公開:株式会社池田理化(IKEDA_ONLINE)
手順の詳細は本ページの図を参照してください。
単一CTCからC-TACクラスターへの発想転換、高度異型の考え方、WSIと深層学習による形態異型度の客観化。
背景、cTME/C-TACの分類、S-MPFの技術と手技、通常染色でのトリアージと多重ICC、臨床応用と展望。
手技の流れ、形態の読み方、実際の症例。特別な機器を追加せず、日常の細胞診の延長で導入する方法を紹介します。
技術協力:東レ株式会社/東レ・プレシジョン株式会社/株式会社池田理化
ウェビナーやセミナーへの参加、S-MPF法の導入、多施設共同研究へのご参加に関心のある方は、事務局までメールでご連絡ください。お名前・ご所属をお書き添えください。施設単位でまとめてのご連絡も歓迎します。
事務局:獨協医科大学埼玉医療センター 呼吸器外科 西平 守道